普茶料理
(協力 興福寺)
- 普茶料理とは?
-
普茶料理は、黄檗宗に伝わる中国風の精進卓袱料理である。料理は、生物や動物性のものは一切使わず、豆腐・野菜など、季節の食材を油をうまく利用して料理する。材料の自然の味を生かし、食材を余すところなく使い切る。雲片がその代表的な例である。
また、見た目にもこだわりがあり、精進物を使って肉・魚・鳥の料理に見せると言う「昼夜揚げ」のようないわゆる”もどき料理”があるのも特徴と言える。このような見た目だけでなく、きくらげを使って歯ざわりまで気を配り、視覚と味覚のギャップの違いという”もどき料理”のおもしろさをもっている。
- 「普茶」の意味
-
「普茶」とは「あまねく茶をほどこす」の意で、料理を仲立ちとして総合親睦を深める・その日の労をねぎらうといった意味合いを含むと同時にそれが目的でもある。この意味は、上座のない円卓で食べ、大器に盛ってある料理を取り箸もなく、直き箸で食べるという食事形式によくあらわれている。
- 禅宗の食事の「普茶」
-
黄檗宗は禅宗の一派であり、この禅門では「茶礼」というのを重く見る。「茶礼」とは行事がある時に一山の者達が一堂に会して、その行事の打ち合わせや反省会を行う事で、黄檗宗では、最後に「謝茶」といって仏前に供えたものをさげて料理し、お茶を飲む。この時の料理が普茶である。
- 禅宗の食事
禅宗の食事は上座から順に並んで座り、自鉢(3枚組)を持っていてそれに食事をついでもらう。基本的に朝はおかゆ、昼・夜は一汁一菜、そして漬物が2枚ある。そのうちの1枚で、最後に皿をきれいにして、お茶を飲み干す。しかし、上座の人から食事はつがれるので、上座の人が箸をおいたら、たとえ途中であっても順々に箸をおいていかなければならない。
- 普茶料理の影響
-
普茶料理は油をふんだんに使う。普茶料理の普及によって、民衆に油が広まり、てんぷらも広まっていったと言われている。
- 興福寺普茶料理の献立
- 角煮(旭煮)
-
現在の住職である松尾法道氏の父旭峰氏が工夫を重ねメニューにいれたものである。長崎には豚の角煮という代表的な郷土料理があるがそれに似せて豆腐で作ってある”もどき料理”の一つ。
- 梅干しの天ぷら
- 名前のとおり梅干しを天ぷらにしたものであるが、精進料理は刺激のある味を好まないので、この梅干しはできるだけ酸味を絞って揚げている。
- 卵焼き
- 卵はもちろん動物性の食材なので使ってはいけない。これももどき料理のひとつで、豆腐と色づけにくちなしの実を使って料理してある。
- 麻腐
- これは、普茶料理には必ずつく一品である。いわゆるごま豆腐。
- うなぎの蒲焼き
- これは昼夜揚げと言って、これも豆腐と海苔で作ったもどき料理である。
- 雲片
- 料理の際に使った食材の切りくずをあんかけにしたもの。食材を余すところなく使い切るという普茶料理の精神があらわれた一品である。
- 十六寸
- 豆の一種で、この豆を10個並べると6寸の長さになることから十六寸と呼ばれている。
- 巴饅頭
- 普茶料理には必ずつく一品で、桃饅頭をいくつかくっつけて油で揚げたもの。
- 味噌汁
- 最初に飲む
- けんちん汁
- 料理に使った野菜の切りくずやかすを使ったもの。
食文化の目次へ