「時計塔」除幕式におけるあいさつ

 記念物「時計塔」の除幕式に当たり,一言ごあいさつ申し上げます。

 50周年の記念事業として,久家 勇 前副校長先生を中心に,学校・育友会・同窓会の三者が一体となって,「時計塔を作ろう」ということが決定したのは,一昨年のことでありました。

 作るからには,「100周年まで残るようなものを作りたい」「長崎らしさを表現したものや附属中学校の特色を秘めたものにしたい」などなど,諸々の願いがありました。

 「そのためにはどのような形にするのか」「時計塔にはどのような意義を持たせるのか」,また「どこに作るのか」など何度も話し合いが続けられました。

 その間,何とか意義ある立派なものにするため,設計図を何度も何度も変更しました。自分たちで塔のイメージスケッチもしてみました。長崎市内にある時計塔も見て回りました。 パンフレットを基に全国の時計塔も研究しました。模型も作ってみました。最終設計の決定段階では,生徒会役員からも貴重な意見をもらいました。

 様々な意見や考えがありましたが,結論的には,シンプルな中にも,斬新的で,見飽きのしないように,建立の意義を盛り込もうとの考えが委員会の一貫した姿勢となりました。

 このようにして,関係者の熱意に支えられ,設計では専門家の御指導をいただきながら,設計・施工を経て,今日ここに見事な時計塔の完成を見ることができたのであります。

 さて,皆さんは,この塔の姿から何を連想しますか。

この塔の名称は,「飛翔 光と力と望みと」の時計塔と名付けました。

 それは,まず第一に,全体の形として,三角形の上にとがった小さな塔があり,裾の御影石は台形をなして,遠くから見るとロケットが発射台にすわり,出発を待っているように見えませんか。

 そうです。生徒の皆さんが夢とロマンを乗せて,この地から飛び立ち,未来に大きく羽ばたいてほしいとの願いを込めたからであります。

 次に,ステンレスの三角柱と三個の時計は,それぞれに本校の永遠の魂である校訓の「光」「力」「望み」を表しています。

 また,全体像としては,オベリスクとして見ることのできるものにしています。オベリスクというのは,古代エジプトで,神殿の門前の左と右には,必ず建てられた物で,方形をしていて,上に行くに従って次第に細くなり,先のとがった白い石の柱です。もともと,このオベリスクは,学問と芸術という意味を持つと言われています。したがって,オベリスク風に塔を形づくることにより,中学校教育の在り方を実証的に検証する場としての附属中学校の使命を託しています。

 なお,今回の建立に当たり,一番の特色としたのは,塔の一面に,人類最古の文字と言われる古代エジプトのヒエログリフ,即ち神聖文字を刻み込んだことです。この神聖文字で,校訓「光と力と望みと」を表し,過去から現在,そして未来に向かってどこまでも続く発展を託したのです。文の左上から右下に読みますが,その意味は「我らここに,創立50周年を記念し,光と力と望みとの塔を建立する」ということであります。読み方については,記念誌「むかしの仲間」に書いていますので,一読ください。

 先ほども述べましたが,この時計塔のデザインや意義,とりわけ神聖文字の発想などは,迎憲二教頭先生,江口武先生が中心となり,魂を込めて研究し,文字については「君と僕との解読ごっこヒエログリフ単語集」の著者で,長崎市にお住まいの糸田明子先生に懇切な指導をいただいて完成したものです。

 さらに,この文字を時間と心を込めて書いたのは,社会科の赤井君博先生であります。 

 以上のような経過と意義を持たせた時計塔がここに完成しました。皆さん,誇りに思ってください。

 育友会や同窓会はもとより,たくさんの方々の附属中学校に寄せる熱き思いで,この記念物は,皆さんと,あとに続くであろう後輩のために作られたものです。

 願わくば,生徒の皆さん。創立50周年を迎えた今日,記念の時計塔に思いを寄せて,未来に向かって一日一日の「時」を刻みながら,「光と力と望みと」を持って,この附属中,いや長崎の地から,数多くの高き志に生きる人材が数多く輩出することを祈ってやみません。

 朝の登校時に,夕刻の下校時に,この塔を見上げて,遙か未来に夢馳せてほしいものであります。

 最後になりましたが,設計・施工と御尽力をいただきました株式会社TICシチズン様及び山口工務店様をはじめ,物心両面から御援助いただきました育友会,同窓会の方々に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 本校の大切な記念物として守ってまいります。

 終わりに,「時計塔よ,時計塔よ。我が附属中学校の新たな出発と更なる発展を見守り給え」と念じつつ,除幕式のごあいさつといたします。

平成9年11月2日 長崎大学教育学部附属中学校 副校長 島崎 賢一(当時)  

 


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