平成14年度科学研究費補助金特定領域研究
「新世紀型理数科系教育の展開研究」
研究成果報告会

発表日時:2003年3月1日13:00〜16:00
発表場所:日本科学未来館・会議室2

社会科学における数理的方法の採用 経済学・地理学・社会学・歴史学など
子どもの日常的社会認知の発達調査から ・遊動的発達仮説 ・数理的社会認識の可能性 利益概念の調査から
社会科授業開発研究から ・兼業農家の授業 農家家計の分析から兼業農家の方が農業経営維持能力が高いのではないかとする授業 ・高齢化社会と年金の授業 年金会計を推計するモデル式を作って、政策立案をする授業 拙稿「情報処理能力を育成するための社会科授業モデル」全国社会科教育学会『社会科研究』38, 1990年, pp.59‐69)








本年度の目的
社会科及び社会系教科における数理教育の教材開発を行うための基礎的条件を明確にすること
研究方法



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福田 正弘 |
長大/教育/社会科教育 |
研究代表者 |
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平岡 賢治 |
長大/教育/数学教育 |
数学教育からの評価 |
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牧野 一成 |
佐高専/一般/地理学 |
地理学・地理教育・GIS |
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岡野 利男 |
長大/教育/附中 |
中学校での実践研究 |
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吉尾 直樹 |
長大/教育/附中 |
〃 |
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舛田 安史 |
長大/教育/附中 |
〃 |
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田中 啓司 |
長大/教育/附中 |
〃 |
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川崎 康 |
長大/教育/附小 |
小学校での実践研究 |
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駒木 貴範 |
長大/教育/附小 |
〃 |
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坂口 洋介 |
長大/教育/附小 |
〃 |
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山下 英明 |
長大/院/日本史 |
日本史からの構想・授業 |
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三好 顕 |
長大/院/地理学 |
地理学からの構想 |
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草村 俊昭 |
長大/院/社会学 |
社会学からの構想 |
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小畑 晃一 |
長大/院/歴史教育 |
現状分析 |
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田崎 景子 |
長大/院/歴史教育 |
〃 |

方法
小中4社の社会科教科書における
記述(文章)
統計情報(表・グラフ)
図
の量、頻度、関係を分析
利点
・大版化、カラー化、イメージ化
・図、表、グラフの多用
疑問点
・学習材として適切性
導かれる社会認識の仲立ちができているか
・教科書記述との連携性
文章と資料が相互に関連付けられていない傾向(→右図グラフ)
・学習過程における位置づけ
データ→問題意識→探求→解決の過程で、探求部分が欠落。教科書によっては、データから問題を指摘し、問題意識を喚起する記述スタイルをとっているものもあるが、問題の指摘の後にすぐに結論が記述されてしまう。→学習過程にならない
結論
教科書の構成では、数理的社会認識の形成には限界。(←教科書=知識)
↓
教師の力量に左右される

3つの実験授業
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小学校6年 日本と関係の深い国々 |
中学校3年 公民的分野 現代の職場と私たち |
高等学校2年 日本史 縄文・弥生時代の人口 |
高校日本史の授業概要
@縄文・弥生時代の人口推計
A 住居1戸当たりの居住人数 ← 仮定
B 1集落当たりの住居数 ← 発掘データ
C 1地域における集落数 ← 〃
↓
D 1地域の人口推計値=A×B×C
Aの仮定値の取り方によって、人口推計値に違いが出てくる。
A人口変動の原因の読み解き
授業計画のみ
授業結果(アンケートの結果)
○ 方法
下のアンケートを授業前後に実施。また、授業の感想を自由に書いてもらう。
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1 例にならって、あなたが、次の5つの教科と数学との間にあると思う距離に従って、5つの教科名を図に書き込んでください。 (国語、社会、理科、英語、体育) (例) 数学 理科 国語 英語 社会 体育 +―――――+――――――――――――+―――――+――――+―――+ 数学 +――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
○ 結果
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社会事前距離 |
理科事前距離 |
事前倍率(社会/理科) |
社会事後距離 |
理科事後距離 |
事後倍率(社会/理科) |
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10.2 |
2.4 |
4.2 |
6.1 |
2.1 |
2.9 |
N=18 距離単位:Cm(max=14)
○ 生徒の声
・ 「今日の授業はとてもおもしろかったです。社会(特に日本史)と数学はまったく関係ないと思っていたけど、歴史にも数学が関係していることが少しはわかったような気がします。」
・ 「古代の人口を調べるなんて思ってもいなかったです。でも、とても楽しかったです。1軒の人数が1人違っただけで、後の人数があんなにも変わるなんてすごく驚きました。」
・ 「いつもとちがった授業で日頃はノートに写すのが社会の授業だったけど、今日のは計算したり考えたりと、社会の授業とはとても思えないような楽しい授業でとてもよかったです。」
授業評価
○ 生徒の立場から
実験授業への好意的評価
数理を用いた歴史的思考を育成する上では、プラス。
○ 歴史教育・数学教育の立場から
(授業後の分析・検討会から)
1)人口推計の根拠データをただ数値として提示するのではなく、生徒がその社会的背景を考えたり、自分で資料を探したりする時間が必要ではないか。
2)人口推計の手法として、地域における遺跡や集落の均一性を前提にしているが、その根拠を尋ねていくような指導をしないと、数学的手法を用いることの意味が減ずる。
○ 結論
現行の枠組みでも十分な成果はあるが、生徒の探求的な学習活動を充実させる必要がある。そのために、十分な学習時間が必要。

今年度の成果
○ 調査的研究
・社会科教科書では、数量を用いた資料活用には工夫が見られるものの、数理的社会認識の形成には限界がある。教師の学習指導力に依存する。
・アメリカの研究者および小学校との共同研究、協同学習プロジェクトの準備ができた。
○ 実験的研究
・社会諸科学の成果を取り入れた授業構想案を作成、学会(全国社会科教育学会)にて発表した。
・実験授業において、
社会科学ベースの授業
→生徒の評価高い、数学−社会の親近性イメージに変化、時間不足
改善型の通常授業
→単なる資料活用に留まる傾向(社会科本来の目標から当然か)
が明らかになった。
今後の課題・展望
1)